このコーナーは「まほろば」が主催する自閉症の研修会でよくある質問(専門用語)とその回答を一覧にしたものです。
シャイな方で「研修会では質問ができなかった」という方,質問をどうぞ。



カタレプシー
レット症候群
バックワードチェーン or 背向型連鎖
新版精神医学事典 平成5年版 弘文堂
カタレプシー(英catalepsy:独Katalepsie:仏catale’psie)
強硬症ともいわれ、緊張病症候群(catatonic syndrome, katatones Syndrom)の症状のひとつである。患者は外部から一定の姿勢や四肢の位置をとらされると、それを自ら変えようとはせず、長時間そのままの姿でいることをいう。これは、昏迷あるいは亜昏迷状態において患者が能動性を失い、自発的行動が出来ない状態であり、疲労も感じない。高度になると筋緊張が高まり、四肢を思いのままの形にあたかも蝋細工のように曲げて不自然な姿勢をとらせることができるので、蝋屈症(flexibilitas cerea)という。精神分裂病(現統合失調症)の緊張病症候群においてその典型的な症状がみられるわけだが、脳炎、脳腫瘍などの脳器質性精神病、症候性精神病などでも出現することがある。また、ヒステリー、催眠状態においても同様な症状がみられ、これもカタレプシーと呼ばれている。

まほろばコメント
近年はこのカタレプシーの概念が広がって、一部の自閉症にもあることが報告されています。PCで説明すると画面上にソフトを展開して、色々なソフトを稼動しているとその中のワープロソフトで作った文章をプリンターに送ったとします。すると、CPUの処理が間に合わなくなってプリンターがフリーズ動かなくなった状態と説明すると分かりやすいと思います。
新版精神医学事典 平成5年版 弘文堂
レット症候群(英:Rett syndrome独:Rett Syndrom)
1966年オーストリアの小児科医レット A.Rett によりはじめて記載された自閉傾向、高度精神発達遅延、手の特異な情動運動を主症状とする女児のみにみられる年齢依存性の経過を示す進行性の疾患で、発症頻度は女児約15,000人にひとりといわれている。生後6ヶ月からしばしば18ケ月までの発達は多くは正常であるが、その後発達の停止、知的退行が急速に出現する。また乳幼児期早期反応の乏しさがあり自閉傾向に発展、獲得した言語の消失をみる。1〜4歳で症状は急速に進行し、特異な手の常同運動(指をからませたり手をもみ洗う)が出現、手の合目的運動が消失、動揺性の小幅歩行が出現する。5歳を過ぎると進行は緩徐となるが、痙性が出現、側彎の進行、歩行不能に陥るものも多い。てんかんは高率に合併する。間歇性過呼吸や二次性小頭症もみられる。剖検例では大脳の瀰漫性の萎縮、黒質の色素沈着が少ないことが報告されている。病院についてはカテコールアミン、インドールアミン欠乏やエンドルフィン代謝障害説があるがまだ明らかでない。

まほろばコメント
ICD10ではF84 広汎性発達障害(P.D.D. Pervasive Developmental Disorders)として分類されている。
バックワードチェーン
まほろばコメント
オペラント条件付け(道具的条件付け)といわれる方法論の中の一技法です。これの背向型というのは実験心理学から実際の指導場面へと応用されていった時期に開発された技法です。
指導の順序を通常の方法(順向型)とはまったく反対の方向から指導するということです。例えば、ひとりでズボンをはくという行動を学習することを例にして、具体的に順行型と背向型を比較して説明します。ここに示したものは少々荒いですが、おこさんや利用者さん実態によって、もっと細かくしたり、荒くしたり理解と学習進度に合わせてそれぞれの目標行動を設定してください。
ただし、単位行動として目標行動を記述するというのが基本です。「○○をして○○をする」とか条件文「○○だったら○○をする」という目標行動はできるだけ避けてください。
順行型はどうしても途中で手を貸すことになり、こどもや利用者さんに達成感が生じにくい方法です。

順行型
ズボンをはく指導
1、両手でズボンの腰の前部分を持つ
2、腰を曲げる
3、左足をズボンの左に入れる(効き足を考えて)
4、右足をズボンに入れる
5、腰を起こす
6、両手でズボンを引き上げる

通常のズボンのはき方は上記のような手順で行われます。しかし、この一連の動作をイメージしてひとりで最後まで行うのは大変です。そこで、背向型は指導の順序を逆にします。つまり、上に示した順行型の6から指導を始めるのです。
そうすることによって、ズボンのはき方を学習するこどもはズボンをはけている結果(ゴール)がはっきりしているので一連の単位行動の学習が円滑に行われるというわけです。
ですから、初日は6の指導をしてできれば誉めてあげる。何度か6だけの定着のための指導を繰り返した後、確実に6で示した行動目標ができることが分れば、次の指導として5を指導する。すると、彼は5の次は6を行えばズボンをはけることがわかっているので、自動的に6の行動を行ってズボンをはく。
ですから、背向型の場合は完成に近いところまでしてあげて、最後の所から指導を始めるといったプログラムです。そういった、単位行動をまるでチェーンのようにつなぎ合わせていくことからバックワードチェーンというようにいわれています。
おさらいです。

バックワードチェーン or 背向型連鎖
ズボンをはく指導
1、両手でズボンを引き上げる→できたら誉める
2、腰を起こす→できたら誉める
3、右足をズボンに入れる→できたら誉める
4、左足をズボンの左に入れる(効き足を考えて)→できたら誉める
5、腰を曲げる→できたら誉める
6、両手でズボンの腰の前部分を持つ→できたら誉める

背向型プログラムと違って順行型では途中でこどもができなくなるところがあり、全て誉めてもらえるという結果には終わりません。ところが背向型については全て誉められるわけですので、こどもは大きな満足感と充足観があります。次にまたやろうという内発的動機付けも行われます。